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株式会社東京合同鑑定事務所の佐藤俊夫と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

 私は不動産鑑定士として独立してちょうど10年目になりますが、この3A地区の青山の地に事務所を構えたいきさつは、開業当時、北青山にあった再開発予定のビルを知人から紹介され、取り壊しまでの期間を条件に(かなりの低家賃で)入居させて頂いたことがきっかけでした。折しも、我が国が長引くバブル経済崩壊の後遺症に苦しむなか、山積みとなっていた不良債権処理問題解決の一端を担うべく、当時の我々若手鑑定士は当該債権の担保不動産査定業務(デューデリと呼ばれていた)に日々追われて東奔西走していた時期であり、こうした業務をこなす上でも青山の地は大変好都合な立地にありました。こうして縁あってその後も3A地区に留まることとなり、再開発事業の進捗に伴ってビルを退去した際、現在の南青山に移転しました。

 さて、不動産鑑定士の仕事というと、一般にはあまり馴染みがないようで、一部の職域の方を除いてはご存じない方も多いと思います。そのような実状を踏まえたうえで、鑑定士の一般的な仕事の話しも交えつつ、私の仕事について、その概略をお話しさせて頂きたいと思います。

 不動産鑑定評価とは、ひとことで言えば不動産の経済価値を評価する仕事であり、その成果は、基本的に不動産鑑定評価書として発行されます。鑑定評価業務には、国や都道府県等の地方公共団体から依頼を受けて行う公的評価業務と、企業や個人の方が依頼者となる民間評価業務に大別されます。

 前者の代表例には、毎年3月と9月頃に新聞・テレビ等マスコミで取り上げられる地価公示(公示価格)や地価調査(基準地価格)の仕事があり、私も評価員として委嘱を受けております。これらは両者(各半年ターム)で概ね年間を通じて不動産鑑定士が作業し、国土交通省や各都道府県がその結果を公表しています。これに類似する仕事では、相続税路線価や固定資産税評価のための鑑定評価業務があります。この他公共用地の買収・補償のための評価等がありますが、こうした公的評価は鑑定士制度発足以来(約40年前)のものが多く、一般に従来の仕事はこうした公的評価業務が中心となっていました。

 一方、民間評価の需要は近年高まりをみせており、その代表例が、J-Reit(日本版不動産投資信託)を始めとする不動産投資ファンド関連の証券化対象不動産の鑑定評価です。上場ファンド、私募ファンドともに近年急増してきたことに伴って鑑定評価の必要性も拡大し、おかげさまで当社もその恩恵に与ってきたところであります。いわゆる不動産と金融の融合分野と言われる仕事のひとつで、マンションやオフィスビル、店舗ビル・ショッピングセンター等の収益物件の鑑定評価が主体となりますが、昨今の世界的金融市場の混乱、不動産市況の悪化の煽りを受け、この分野における現在の仕事環境(ニーズ)は一変して厳しい状況にあるのが実状です。従来からの金融機関(融資)の担保不動産の鑑定評価についても概ね同様の動きを示しています。

 そのほか、当社でこれまでに数多く扱ってきた民間業務には、税務・会計や法律上の課題解決に向けた鑑定評価やコンサルティング業務があります。これらは、時価・減損会計、現物出資、同族系列会社間売買、減価償却、相続・遺産分割や財産分与、借地・底地、継続賃料(家賃や地代の値上げ・値下げ等の紛争解決)といった税務・会計上や裁判上の証憑資料としての鑑定評価や、企業再建・M&A等に関連する資産評価等、主に弁護士や税理士等の他士業の方々を通じて依頼される評価が主な仕事です。当社では今後もこうした民間業務分野により一層力を入れ、専門性に磨きをかけていきたいと考えております。また、一般の企業や個人の方でも不動産の取得・保有(管理・有効利用)・処分・交換・承継・訴訟といったあらゆる局面で、売買や賃貸借における鑑定評価及びその周辺業務のニーズは広く潜在していると思われます。今後我々は一般の企業や個人の方への問題提起や啓蒙活動等を通じて、鑑定評価を直接かつより戦略的に活用して貰えるようになって頂きたいと考えております。

 そのためにも、不断の勉強と研鑽によって皆様のあらゆるニーズにお応えし、身近なパートナーとしてお役に立てるように努力していきたいと思います。最後になりましたが、これまでにご縁のあった皆様に支えられて運よくここまで来られましたことに深く感謝致しますとともに、今後はより自己研鑽に努め、真に社会に役立つ人間、社会貢献できる会社に成長していきたいと思います。皆様、今後とも末永くどうぞご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。