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[要旨]
 知的財産権における「知」とは人間の知恵のことである。知恵を如何にどのように生かしていくのか、あるいは広げていくのかが重要である。まずは、知的財産について総括的に解説し、続いて中小企業における知的財産権への取り組み方について説明する。
 最後に、知的財産の新しい形を具現化するセコンドライフについて紹介する。


第一部 中小企業の知的財産戦略

1.知的財産権とは
 知的財産権における「知」とは人間の知恵のことである。知恵を如何にどのように生かしていくのか、あるいは広げていくのかが重要である。戦後、半導体などから始まった知恵が、ICTの発展に伴って、知恵の世界が広がってきた。また、人間は脳によって制御されて生きているが、その脳の一部を置き換える技術も登場している。脳細胞と同じ働きを持った機能を持つサイボーグもやがて登場する。
 さらに、今、人間の知恵の一つであるセコンドライフの世界を紹介したい。実際のリアルの世界をそのまま、バーチャルの世界に置き換えて実現できる世界である。
 人間の知恵は人間が生きている限り、限りなく進展し、限りなく変化していく。それらの内容を紹介する。

2.知恵
 人間の知恵とは、誰もがもともと備えている人権である。世界人権宣言第27条に「すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利を有する。」と書かれており、人間の知恵が大事な人権であることが示されている。人権であるということは、基本的な財産でもあるということを示している。すなわち、他人が人の知恵を無断で拝借することや盗むことは、人権侵害でもある。すなわち、知恵は其れほどまでに貴重な存在である。

3.知恵の種類
【特許】
 知恵のコンテンツとして、よく言われる発明は、技術に関する知恵であり、これに対して与えられる知的財産が特許権である。

【実用新案】
 これに対して日常の簡単な容器等の簡単な部品やや家庭用品は、発明よりはレベルが下り、実用新案といい、考案と言っている。すなわちモデルである。

【意匠】
 さらに、デザインが意匠であり、これは意匠法という法律に従い、意匠権が与えられる。

【商標】
 また、商品には必ず名前が付いている。一番大きな名前は、ハウスマークである。会社の名前がそれにあたる。「日立、東芝、ソニー」といった名前はハウスマークである。これをトレードマークと言う。企業は、企業のハウスマークを基本のトレードマークとするとともに、商品を開発する毎に商品毎にトレードマークを取り付ける。会社の名前だけでは消費者が満足しない。商標、トレードマークをつける必要がある。これらは商標法という法律に従い、商標権という権利として保護される。

【産業財産権】
 この発明と考案とデザインとトレードマークの4つを産業財産権という。これは経済産業省が扱っている4つの知的財産である。この、特許権と実用新案権と意匠権と商標権を付与しているのが、経済産業省の下部機関である特許庁である。これの権利を産業財産権と呼ぶようになったのは5年前からである。それまでは、工業所有権と言っていた。どこかで、今だにそう言っている場合がある。

【著作物】
〜著作権で企業の権利を守るには・ビルゲイツの戦略:著作権の活用1〜
 これに対して、文学をする人あるいは音楽や小説や芸術などの世界は、著作物という。これに対して与えられる権利は著作権という。ところが、現在著作物の中にコンピュータプログラムが入っている。コンピュータプログラムには、セコンドライフなどのネット関係のプログラムも含まれる。特許権でも5年前から導入されてきている。ところで、ビルゲイツはマイクロソフトを世界最大の企業に育て、自身も世界一の長者になった。そのからくりは著作権にある。彼は戦略として特許を取らなかった。特許を取得せずに著作権としてウインドウズのソフトを世界中で販売していった。ビルゲイツはもともと、ハーバードの法律学の学生であり、弁護士を目指していた。特許の取得を目指すと実は大変なお金がかかる。膨大なお金がかかる。一つの発明として青色発光ダイオードを考えると、現在世界中で使用されているが、世界で通用する知的財産権が必要である。ところが、著作権は世界権である。すなわち、日本で生まれた著作権は世界でそのまま通用する。アメリカで真似されたらアメリカで捕まえることができる。ヨーロッパで真似られたらヨーロッパで捕まえることができる。しかし、発明技術やデザインやトレードマークについて日本の特許庁で与えられた特許権や意匠権や商標権は日本国内でしか通用しない。いま、ネットで接続されたグローバルなマーケットでは、すぐに世界中に情報が飛んで行ってしまう。すると、世界ですぐに真似がでる。そこで、世界で自分の権利を守るためには、世界中で特許を取得しなければならない。各国に1件とるのに最低で50万円であり、高いと100万円ぐらいかかる。海外の特許庁への手続きは日本国の弁理士が代理することができないので、手続きについては現地の専門家が手続きをとることになる。彼らの手数料は高いし、総計で100万円はかかる。特許権の命はこの場合20年である。その20年の命がなにも払わずに続くかというとそうではなく、毎年毎年税金を払う必要がある。この税金を払わなければ特許権は消されてしまう。日本での特許権維持のための税金も、だいたい一件当たり20年で180万円ぐらい掛かることとなる。従って、年間2000件だの1万件以上の出願をしていると企業にとりとてつもない額になることがわかるであろう。
 それに対して、この著作権は実は一銭もかからない。著作権を取得するのに文化庁で手続きをする必要は一切ないのである。文章を作り、音楽を作曲し、絵を描いたとたんに著作権は発生することとなる。その場で著作権は発生する。従って、それらを何処かに届けたり、手続きをしたりする必要はまったくないのである。著作権は、その権利期間が長くて50年である。正確に言うと、著作者の死後50年である。従って、ジョン・レノンの妻であるオノヨーコ氏がニューヨークでいまだに贅沢な暮しができるのも、ジョン・レノンの著作料がいまだに相当な額の収入となるからである。もちろん相続の対象になる。このように著作権は実に長くて、しかも一切税金がかからない。ビル・ゲイツはこの点に着目して世界にウインドウズを広げたため、もし、世界中で特許を取っていたら会社が持たないくらい費用がかかるのだが、逆に一銭もかけずに、インカムだけが取得したというのが一つの戦略なのである。しかし、特殊な内容だから、一般企業には関係ないと考えがちであるが、実際には一般企業にも活用可能な著作権が存在する。

〜美術工芸品として著作権で商品を保護する:著作権の活用2〜
 著作物の中に美術品というのがある。さらに美術品の中に美術工芸品という対象がある。美術工芸品の中に、一般企業特にメーカーが扱う商品が沢山含まれている。お人形や、玩具等はみな美術工芸品である。これらはみな著作権の対象となるから、これらは著作権法で保護される。過去の裁判結果に、仏壇が美術工芸品に含まれるかどうかが争われ、最高裁まで争われたことがある。最高裁において、仏壇は美術工芸品であるという結論となり、著作権で保護されることが明らかとなった。この例のように、いろんなものが著作物となるので、こういう著作物として守っていくのもストラテジー、戦略となるのである。お金をかけて特許を取得するか、あるいは商標を取得するか、これらはいずれも、権利期間を有するものである。特許権ならばその権利期間は20年であり、しかもその間に多くのコストが発生する。それに対して著作権は、一銭もコストがかからない上に、権利期間が死後50年となることから、権利を著作権で保持することも一つの戦略となるのである。

【品種】
〜日本の農業を保護する知的財産〜
 品種というのは植物の品種である。例えば、薔薇、カーネーション、またはアリストロメリア、あるいは、果物が対象となる。この品種の権利が育成権という知的財産である。育成する、すなわち、育て上げるものである。講演者である私の顔が黒い顔であるのは、ゴルフ焼けとよく言われるが、そうではなく、日常業務の他に種苗の業務のために畑で農作業にも従事しているからである。すなわち、野外での農作業の結果として日焼けにより黒い顔なのである。当事務所の扱っている品種としては、例えば、イギリスの会社の薔薇や、オリーブ、ワインを扱っている。ところで、植物の世界では、外国企業による育成権侵害が問題となっている。外国企業は、日本で開発された新しい品種を直ちに母国に持ち帰って育成し、成長してから再び日本国内に再輸出するのである。日本の品種を海外の安い労働力で育成して、低コストで再輸出するのである。このために、日本の農園芸者が被害を受けているのである。このような育成権侵害の摘発のために今一番忙しいのは税関である。税関で育成権侵害品を摘発することができるのである。税関では、関税定率法という法律で摘発しており、証拠確認のために、品種の遺伝子の比較によって侵害品であるか否かを早急に見分けることができるのである。今までは、著作権の対象であるビデオやテープが別の外国で安く製作されて、どちらかと言うと著作物、こちらのほうが被害にあっていたのであるが、最近は農作物が特に被害にあっているのである。

【半導体回路配置】
〜半導体企業のための知的財産〜
 次の半導体回路配置は半導体回路のレイアウト配置に関する知的財産権である。半導体は技術進歩が著しく変化が激しいため、特許の対象にするのもよいが、個別に半導体回路の配置だけを対象とする新しい法律を作って、10年間だけ特別に審査せずに、半導体の登録を行うセンターに登録すれことで保護される特別な知的財産である。

【営業】
〜営業秘密や信用などの企業の知的財産を守ることができる〜
 次の営業については一般企業にとって極めて重要な知的財産であることから是非ご理解いただきたい。前述の特許や著作権は、日頃よりよく耳にする用語となってきている。しかし、不正競争防止法は耳慣れない法律であるが、不正競争防止法とは、不正な競争行為、すなわち商売における相手方からのアンフェアな行為を対象とする法律である。たとえば、自社の悪宣伝をする企業が出現したことを想定する。近年は悪宣伝も巧妙にやるようになってきている。具体的には、その企業のカタログの作成で、実験データを持ち出してその企業の成績を非常によく表現し、一方。こちらのデータを低く示すそういうカタログを作って、顧客に配布するのである。商売上は、アンフェアなやり方である。これのような行為を規制する法律として制定されており、不正競争防止法は、商売上のあらゆる不正な行為について規制している。例えば、他人のドメインネームを不正の目的を持って取得して使用することも規制の対象となっている。とりわけ、企業の秘密すなわち営業秘密の保護もまた不正競争防止法の重要な目的となっている。例えば、企業にとり顧客名簿は重要な営業秘密である。例えば、敵対企業に顧客名簿を奪われることは、お客さんを敵対企業にこっそり持って行かれるということとなる。また、さまざまな書類の管理台帳もまた、これは企業にとって大事な営業秘密である。こういうもの無形の財産をいかに守るかという点について、先ほど言った特許だとか、商標だとかでは、これらの権利とは関連しないものである。そこで、これらのアンフェアなものから営業活動を保護する規定が、不正競争防止法である。この規定は、無登録主義であり、特に手続きを要しない規定である。そういう他人によるアンフェアな行動による何らかの被害に遭遇した場合は、このような法律があることを認識しておくことで、何らかの解決方法を見出すことも可能になる場合がある。すなわち、何らかの知的財産権を取得しなくとも相手方のやってることが不正な場合は、不正競争防止法に該当する場合があるため確認が必要である。このような、公正な営業を守ってくれる知的財産を守る法律が不正競争防止法である。

【肖像・キャラクター】
〜キティを通して〜
 最後に、肖像・キャラクターと記載されているが、いろんなマンガの主人公がキャラクターを持つ場合で、これらの主人公のキャラクターが有名で且つ人気を有していて価値が上がって、それを商品に付すると、とてもよく売れ行きが向上する。つまり、商品の付加価値が向上して、売り上げを促進する場合がある。具体的にはサンリオ社の「キティ」が代表的な例である。現在は一時期よりその人気が下火にはなってきたものの未だに一千億円以上、年間売り上げているのである。このため、あらゆる企業がキティのマークを使用している。冷蔵庫まで、キティが付されていることがあった。一時は本当に総売上高で1800億円程度までの実績を残しているのである。すなわち、たいていのマンガより売上げてしまうのである。ここで、キティはマンガであり、著作権の対象となるのである。従って、著作権法により保護される。すなわち、「キャラクター」は知的財産として意外に大きな価値を持っているのである。ノーベル賞の対象となる高価な測定装置が例え特許の対象であっても、売り上げ的には「キティ」に遠く及ばないのである。むしろ、こういうキャラクター商品が、ヒット商品として百何億稼ぐということはあり得る現実なのである。


4.知的財産を守る法律は
〜憲法から独禁法まで〜
 続いて、知的財産を守る法律について簡単に紹介すると、まず、基本的には憲法によって保護されるのである。憲法の29条第1項に、「財産権は、これを侵してはならない。」と規定されている。この財産権のなかに知恵は皆含まれるのである。前述の通り知恵は基本的人権であり、憲法が対象となる。次に憲法の中にあって、なによりも我々が直接利用するのは民法であり、とりわけ損害賠償がその対象となる。例えば、極めて大きな損害を被った場合について説明する。これまで、特許に関連する商品において、1億円の売り上げがなされていたのが、類似品が出現して販売されたために売り上げが5000万円に減少した場合を考える。この場合は、売り上げの減少分である5000万円が賠償の対象となるのである。この場合における損害賠償に関しては、民法の709条に規定されているのである。民法の他に、具体的には、先ほど説明した知的財産という法律が、すなわち、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、あるいは種苗法が規定されている。加えて、条約というのも知的財産には重要であり、これらの知的財産に関する法律のすべての背景に条約があり、世界的に協調して制定されているのである。実際は国連の世界知的権機関という機構があり、そこではまず条約が制定され、その条約に従って、各国がその条約に沿った法律を制定し、あるいは改正をしていき、知的財産権制度の世界的な調和が図られるのである。民法や、憲法は国連の考え方や条約が反映されることは限定的でありますが、知的財産だけは全て世界で議論されて、共通する考え方で規定されていく。従って、貿易に携わる機会のある方は相手方の国で知的所有権の制度が不明である場合に、に日本のシステムを理解することで、他国の制度を推測することができるものである。

【独占禁止法】
〜企業活動で注意しなければいけない法律〜
 企業活動で、気をつけるべきなのは、自分の知恵を独占的に使って、独占的なビジネスを展開する場合である。前述のビル・ゲイツがかなりこの独禁法により指摘を受けているのがこの法律である。市場を独占するために、市場を完全に自分だけのものとするために、企業は独占性を高めるということは当然狙こととなるが、そのために特許を取得することとなる。あるいは著作権を必要とすることとなる。しかし、独占化も度を超すと問題となってくる。財産権に対して、我々にはもう一つ公共の福祉という考え方があり、マジョリティの利益、すなわち国民の圧倒的多数の利益と個人の利益とどっちを大切にするかという問題であり、先ほどの憲法第29条の第2項に「私権は公共の福祉に従う」いう規定があるのである。私権つまり、個人の利益はマジョリティの利益のほうが大事であるとの考え方があるのである。この考え方は世界のどこでも共通の条項である。それを受けて、成立しているのが独禁法である。独禁法においてとりわけ、一般企業が独禁法に反する可能性としては、市場寡占化よりも、不公正な取引によって規定に反する場合がある。つまり、契約をする際に値段を指定するなどの示談の姿勢をしたら完全に独禁法違反となる。さらに、部品の購入特約の強制により契約を締約する、というのも独禁法違反である。このように有利な条件を過大につけると、それは独禁法違反ということになるのである。もう一つ独禁法が禁止しているのは、不当表示である。不当表示というのは、食料品等の鮮度が重要となる商品において消費期限が切れているのにそれを期限内であるかのようにラベルを張り替えたりしている等の行為が相当する。だいたい、日経の3面記事の下の所に「お詫び」記事が表示されている。企業が間違った表示をして消費者にかけた迷惑をお詫びするという表示である。あれは皆、独禁法の中に不当表示法というのがあり、その不当表示法と言う法律違反に該当するのである。独禁法を取り扱っているのは、公正取引委員会である。通称、公取と言う。公正取引委員会から排除勧告を受けて。そして新聞にお詫びの記載が要求される。そうでない場合は課徴金として5億円の支払い命令がなされる。それであれば、2000万円ぐらい払って、お詫び広告を出したほうがコストが低いとして掲載されている。結構そういう意味では公正取引委員会という機関が、国民生活を守るためすなわち、我々の財布が不当に傷まないように見守ってくれているという役割を果たしているのである。


5.2007年度中小企業調査実情
中小企業に対する調査からわかる中小企業にとっての課題

(1)知的財産に対する中小企業の意識
 続いて、中小企業の調査の実情をご説明すると、まず、知的財産と言うことについては、どれくらいの意識と言うテーマで何名かの学生が何社かインタビューした結果を示したものである。調査の結果は、中小企業の経営者はあまり知的財産を重視するという意識を持っていないという印象を受けてきた。全体的な印象としては、関心が薄いと、言うケースが非常に多かった。調査の対象とした中小企業規模は従業員数にしてほぼ百名以下の企業であって、とりわけ忙しい時代であるから、知的財産に議論する暇に製品を製造する作業に追われて、知的財産にさく時間がないものである。というようなのが実態で、経営者も含めて、技術担当者も含めて、どうも知的財産のことに配慮するのが困難なようで、逆に言うとそれで中小企業になにかあった際に他人の権利に抵触したり、本来はもし、特許として、実用新案として、意匠としてあるいは商標として権利を持っていれば、すごく有利な商品として展開できたのに、そこの点が欠けているためにチャンスを失ったというそういうことがあったんだという形跡が見受けられた。

(2)特許事務所への仕事を依頼する場合の注意点
 その中で、日常的に人手不足もあって、外部に知的財産に関する業務をする資格のある弁理士、特許事務所に丸投げして、面倒見てもらっているという例が圧倒的に多かったという言うデータが出ている。外部に丸投げで知財業務を依頼するのは問題がある。丸投げが戦略的にマイナスなのは、すなわち、専門家との議論によって始めて、知恵を如何に自社に有利に使用していくか、そして、次のまた新たな知恵に結び付けていくか、その中からそうならば、こういうことでしょうと、専門家にいろいろと知恵があって、いろいろ広い他の、とりわけ、もう誰かすでに特許をとっているだとか、そもそも特許権が登録が完了しているとか、そのような情報を集めることは現在は、簡単にできるのであり、情報を専門家は頭に入れながら、こうしたほうがいい、そして、状態を見て、こうした方向で権利をとるほうがいい、そういう指導を十分責任者が指図しながら進んだほうがいい権利がとれるのである。それを外部に丸投げすると、これらの議論が一切なされないこととなる。議論がなされないため、出願人の意図が弁理士に伝わらず、弁理士は、特許をとにかく取ってやればいいと理解することとなる。このように丸投げの結果、特許を取得するのはいいが、特許の中身が実は殆ど役立たないというケースが実はよくあるのである。だから、そのような特許では侵害品を捕まえることができず、相手方に逃げられてしまうのである。どうして特許が取得できているのに侵害品を排除できないのかと調べたらやはり丸投げしてしまったために、よく打ち合わせをしておらず出願人の趣旨と異なっているというのが原因である。すなわち、プロはプロなりに、いろいろ知恵があるので、丸投げせずに、十分打ち合わせを持つほうが良いのである。

(3)知的財産管理におけるコスト削減方法
 先ほど申し上げたように産業財産権はコストがかかるものであるから、なかなかそこまでは手が出ないというのも現実である。これは、あとで申し上げるように、別な理由であとは実にうまいやり方があるという情報の不足ゆえに、お金がないからやめた、という我々から見たら短絡的な考え方になってしまっている。つまり、今は実はお金がなくとも、権利をとるいろんな手段があり、また、いかに活用していくかという、とてもいろんな動きが出てきているのである。
 一番我々が気にしているのは、企業はノウハウ、知恵を直ぐ他人に持っていかれてしまうことである。せっかく、企業が生み出した知恵をノウハウとしてシークレットにして大事に取っておく、それを武器にしたらと言われている。営業秘密について、先ほど不正競争防止法と言う。これからもってくればいいんだけれども、この営業秘密に関する意識が非常に薄かったという、印象を受けている。大事な情報であるから、しばらくシークレットに秘密にしておこうというようなことは、以外にいろんなところからリークしてしまうので、気をつけて頂きたいということである。

(4)企業の知的財産戦略
 今後、中小企業がどういう形で知財戦略を展開すべきであるかということで、やはり教育が一番必要である。企業からすれば、教育すなわち、企業にとって有益な知的財産に関する情報をいち早く取得して活用して利益に繋げることである。知的財産において、こういうやり方があるんだよ、このような手段があるんですよ、そういう情報を、知的財産の専門家の立場からすれば、常に、提供する必要があるなとつくづく感じたのである。もちろん、企業側からすれば、そうはいっても忙しくて情報をとる時間もままならない、という難しい面もある。しかし、現代は、専門家ではなくとも、素早く情報を集める方法もあるため、情報の入手手段を探すべきである。現代はいろいろと変化があり、知的財産の範囲が広がって、当然ながらそれをカバーするシステムもどんどん新たなものが出来上がって、それらをカバーする情報は、自ら収集するか専門家から入手しない限り、入手できないのである。情報を取得しなければ、昔のことしかわかっていないという状態となる。古い情報のみでは武器を手にいていないのであるから、全然だめだなという印象を受けたのである。とにかく情報をいろんなソースから入手すべきである。我々専門家から入手することも必要であり、意見交換をすることも必要である。企業経営者が様々な情報にアクセスすることは自由であり、特許庁だとか文化庁だとか、公正取引委員会だとか、こういうのは独禁法違反になるよとか、各機関はこのような情報を全く無料で全て公開されているので、利用しない手はないのである。官庁側もホームページが活用されることを望んでいるのである。特許庁は電子図書館と言うのを開いているのであるから、知財のことは大概この電子図書館から情報が得られるのである。しかも、もちろんコピーも取れるのであるから、積極的にこのような情報のある国の機関を利用していただきたいのである。特許庁以外でも、裁判所では膨大な裁判の結果が毎日のように出ているのだけれども、裁判所の判決も今日の判決はもう明日ホームページに掲載されるのである。最高裁の広報課は非常にデータベースに力を入れており、一刻も早く判決を国民に知らせようとしており、裁判の結果が翌日のホームぺージに出ています。昔であれば、今日の判決を見るのに3か月かかっていたのである。ところが今言ったように翌日出るということで、最高裁のホームページもまた参考にして欲しいのである。いろんな事件があるため、裁判所がどのように考えているのか情報が入るため、ぜひ活用されたい。

6.次世代知的財産
(1)知的財産の債券化
〜単なる知的財産の所有から、債券化へ〜
 近年、新しい知的財産権のシステムそのものが大幅に変わってきている。特許を持っているだとか、著作権をもっているだとか、あるいはそれを人に貸すことにより、借り代をロイヤリティを取得するのは、通常の知的財産の考え方である。ところが、そうではなくて、そもそも生産していなければ、生産体制がなければあるいはマーケットが無ければ、売ることもできないからなかなか生産に踏み切れない。折角良いアイデアを得たのにそれを生かせないということもまた大いにあることである。日本の特許には、休眠特許と言われる存在があり、具体的には特許が特許庁で折角取られても実際にそれが利用されているのは全体の20%程度である。残りの特許は、殆ど活用されていないで眠っている特許すなわち休眠特許なのである。つまり、膨大な税金が払われながら眠ってる特許なのである。ばからしい話である。これはやはり、何とかこの現実をもっと、改革できないものか、ということで金融機関がいろいろ動き始めたのである。かつては、金融機関は特許等には何にも関係ないという態度をとっていたのである。金融機関はあくまでも形のあるもの、つまり、家だとか土地だとか、あるいは宝石だとかそのような有体物しか担保にとらない。知恵を担保にとるなんてそんなのとんでもないと主張していたのである。知的財産については、金融機関は理解できないから担保能力なんか評価できないとして、一蹴されていたのである。ところが、ここ3年ぐらい前から急に金融機関が知的財産を重視して知的財産を大いに金融機関の商品とて育てようという動きが出てきたのである。具体的には作曲家の小室哲也がみずほ銀行から19億円引き出したとか、そんなこともかつては考えられないことであったのである。それだけではすまずに、それらを債券化して債権のマーケットに流通させようと考えたのである。すなわち、普通の株券と同じようなものに該当するのである。株券と同じように特許権だとか特許のライセンスだとかいうものを債券化して債権マーケットに出すのである。その中で、株もその値段が上がったり下がったりするわけであるから、知的財産もヒットしておお化けすれば、大変なことになるわけである。実に投機的なものがあるため、そういうものに興味のある人は、それを債権として、また債券を販売して、と知的財産を債券化するということはこれから非常に大きな動きとなるのである。ごく最近招待されて、アメリカの5指に入る弁護士が900名もいる法律事務所が知的財産の証券化を日本に広げるために、ホテルオークラでレセプションを開いたのだが、その席に招待されて、話を聞いて非常に、すごいのが乗り込んできたものだと感心したのであるが、日本では遅れており、アメリカではすごく進んでいるのである。従って、知的財産と言うものはこれから債券市場にどんどん取り込まれていく時代にいよいよ入ってきたのである。

(2)知的財産の信託
〜金融機関の新たな商品として〜
 また、銀行などの金融機関は全然相手にしなかったものが、信託銀行が競って、この知的財産を信託の対象にしているのである。従って、我々ももし不要な知的財産だとかそういうものがあれば、信託銀行に預けて運用して頂くというのも、休眠特許を増やさずに、知的財産を生かして少しでも利潤を上げていくという制度があるのである。

(3)知的財産の商品化
〜知的財産権流通〜
 一方、譲渡についてもこれから発展する分野である。企業家が、知的財産を思い切って全部処分して、また新たなものを作ってもいいいやと変わっていく可能性がある。今までは、企業家は、自分の企業を保護する、城を守るという視点から知的財産を考えていたのである。ガードとして武器として知的財産を考えていたのである。従って、なかなか知的財産をなかなか手放そうとしなかったのである。ところが一方、外国の企業は、これが金になると判ればこれを果敢に売るのである。ポンと何十億とか何百億とか言う値段で売るのである。日本人はなかなかまねできないのである。今言ったガードという考え方が非常に強いので、簡単に売るということができないのである。現状でも日本人では譲渡は少ないのである。これが世界の市場に行くと、特許は売却されたり、購入されたりしょっちゅうなされているのである。従って、権利者が変わっているのはよくあることなのである。知的財産そのものを商品として考えていく。通常は知的財産と言うのはそれを利用して、作り、売り、そこから利潤を上げて、その利潤の中から食べたり、あるいはまた次の開発につなげたりと、これがセオリーだったのだけれども、そうではなくて、知的財産そのものをその場で商品化してしまう。丸ごと商品として割り切って、そして、それがいい値段がつけば、価値が上がれば、手放していく。そういう考え方、そういう時代に、巨大なアメリカの資本が入ってきているので、日本はそういう意味で活性化する時代に入ってきたのである。知的財産と言うのは、これからそういう面から見ていくということで、以上が知的財産についてのトピックである。



第二部 その次の知的財産
〜セコンドライフと知的財産〜

【セコンドライフとは】
 セコンドライフというのは、年をとったものが次のやがて定年後にどのように生きるかというそういうときにセコンドライフは良く使われているが、そういうものとは違いインターネット延長線上にある、新しい、IT,ICT(インターネット・コミュニケーション・テクノロジー)の技術であり、このセコンドライフというのは何かというと、これは要するに、インターネットがサイバースペースで、通信であるように、これはメタバースという一つの仮想的空間に現実のものを再現するという、新たなITのものなのである。極端に言うと、この世界は、3DCG(3ディメンジョナルコンピューターグラフィック)つまり3次元の世界なのである。3次元であるから、これは自分のコピーなのであるが、これは3次元の世界に作られているため、当然これは著作権の対象である。全てが著作権の対象なのである。このように今部屋に入って椅子に座って、例えば、ここで仕事をすることなどは、こういうことは我々に日常やっているわけであるが、その一つの例を今、反映させることができるのであるが、このようなものを全部作り上げて、我々が今リアルで行っている社会の全てを再現できるのである。そのようなことをやって何になるのかということであるが、要するに、メンタリーに言いますと本来は自分ができない、やりたいけどできないということが、何人にもあるが、この世界ならできるのである。この世界では、豪邸を作ることができまるし、豪華な部屋も作れるのである。全部自分で作るから、何でも作れるのである。いろんなことを希望しながら、失敗により絶望して、自分の命を絶ってしまう人がいるが、そういう人たちこそ、こういう世界は何でもできるよという世界というが、このセコンドライフの世界なのである。
 セコンドライフというのは、アメリカのリンデンラボ社の商品である。つまりソフトウェアである。全てがこのような仮想世界のことをセコンドライフというわけでは無い。あくまでも、リンデンラボ社のソフトウェアをセコンドライフというのである。人気があるため当然対抗馬が今6社ぐらい出てきている。新たな技術を競って、すごく高度になってきているのである。

【セコンドライフと日本企業】
 今までは、移動させるのに空中を飛んでいたのであるが、いま歩けるようになったのである。ますます違和感がなくなってきたのである。これからさらに精密になるのは、本当に驚くべきことである。いかなる効果があるかといえば、先ず真っ先に考えられるのは、大概の大手企業にアイランド、島というスペースをリンデンラボ社が空間を売っているのである。一つの島は、20万円程度である。それを電通は360億円分、広大なスペースを購入しているのである。野村総合研究所の話によれば、たくさんの企業は競っていくので恐らく5年後には今のインターネットと同じ存在なるだろうと予想されているのである。今言ったように、楽天がやっているのは、あれはリアルな世界で、単に通信に移しているだけなのである。しかし、セコンドライフでは、全部を創作をしているので、作られているのは知財、とりわけ著作権の対象になっているわけで、まるで著作権の公報みたいなそういう感じなのである。

【セコンドライフの世界】
 意図的にマルの中で踊っていますと、じつは、リンデン社はリンデンドルを、アメリカ政府に発行することを認められており、このリンデンドルはアメリカドルと交換できるのである。踊っていると人が集まるため、人が集まることで広告の価値が上がるので、島の所有者はなるべく人が集まるように例えば、より高額な10リンデンドルをあげることで、お金を払って踊ってもらっているのである。それぞれの踊っている人たち、立っている人たち、アバターつまり私の化身である。自分自身の化身をそれぞれの人が持っていて参加していて、リンデンドルを稼いでいたり、いろんな行動をとるのである。これが一つの場面なのであるが、これが今日は時間的に込んでいるためいろんな入りたいところに入りたいという制約があるということと、もう一つは、こういったデザインをコンピューターグラフィックデザイナーが作っていくため、結構コストが掛かるのである。これは、今のところデザイナーが少ないためである。従って、そういう意味では、ちょっとまだ、急にインターネットのように広がるのは難しい。しかし、競って7社ぐらいの企業がもっともっとレアルスティックな、つまり本当にレアルな我々の世界にもっと接近した形でこれから展開できるような技術を懸命に開発しているため、そうするとこれはたくさんの人が参加して、広告効果なりにより、そのなかでいろいろ遊技をしたり、ダンスをしたり、実際に音声で会話をしたり、今は音声をつかっていませんが、音声を使ってダンスをしたりするのである。問題なのはまだ日本語が出来ておらず、会話の言語はいずれも英語である。英語でダンスをしながら会話をしたことがありますが、やはりキーを打ちながら会話をしたのである。ただし、相手がマイクを持っていないと音声が使えないのである。相手方がマイクを持っていると、会話をしながら、直接本人が接触するわけではないけど、本人の化身が接触をして会話をするのである。ビジネスで考えれば、法律論や知的財産の相談とかも直接オフィスに来てもらって、そこでそのような作業が出来る。  ヒット商品になるのではないのかと思われる。

【セコンドライフの将来性】
 それでは、遊びの画面であるが、リラックスしてもらい、遊びをしてついでにリンデンラボの考えとか、つまり、デザイナーがこういうものをデザインしただけという話だけであって、いろんな背景を作れるのである。私は、おそらく近い将来3次元でなく2次元の通常普通我々がビデオで撮ってきたものを3次元に置き換える技術が必ず出てくるものと考えているのである。そうすれば、従来のデザイナーがいなくてもね、我々が通常取ってきたビデオで撮ってきたものを加工しながら再現していくというこんな工程として作ることが出来るのである。町自体も利用者が作ることも出来るのである。これがセコンドライフの、まあ今は走り始めたという状態である。

【まとめ】
 人間でもITをここまで理解できたのかという、ひとつの、そんなセコンドライフを紹介した。
以上のように、人間の知恵の世界というのは冒頭に申し上げたように、本当に限りなく進化して進んでいくのである。そういう中に我々はいる、また皆さんもそういうなかで、毎日毎日を過して行くということで、これからもこの知恵というものについてくれぐれも情報を得るように、さっき言った大学機関のホームページや、大学も勿論出しとおきます、大学のホームページを是非御利用いただきたい。このように思います。非常に時間が制約されていましたので、十分ではありませんでしたが、大変恐縮です。今日は御清聴ありがとうございました。
総務委員会 大和田 幹夫

特許庁:http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

裁判所:http://www.courts.go.jp/

コーネル大学:http://www.lawschool.cornell.edu/

マックスプランク研究所:http://www.ip.mpg.de/ww/de/pub/aktuelles.cfm

セカンドライフ:http://jp.secondlife.com/