【 18年度 】
勉強会 「職場のメンタルヘルス
新年賀詞交歓会
クリスマスパーティー
チャリティーダンスパーティー
勉強会 「税と国家について考える3」
子供達にツケをまわさない
税務懇談会
署長インタビュー
勉強会 「経営者・リーダーと
ファッションについて」
第35回 通常総会
第35回 通常総会 懇親会

【 17年度 】 詳細情報



 平成19年2月7日、泉ガーデンコンファレンスセンターにて「職場のメンタルヘルス-経営者・リーダーの役割とは-」と題して勉強会が行われた。講師に「メンタルヘルス=心の健康」の専門家である緒方 一子氏をお招きし、職場のメンタルヘルスについて学んだ。



講師紹介

緒方 一子(おがた いちこ)
臨床心理士(カウンセラー)/日本産業カウンセリング学会 理事/企業において社員のメンタルヘルスのサポート及び、管理監督者へのコンサルテーションを実施。



【メンタルヘルスについて】
 メンタルヘルスとは簡単にいうと「心の健康」のことである。いま職場ではいろいろなストレスを受け「心の健康」が損なわれている。経営者は従業員の健康を守り、生産性の向上をはかる上でメンタルヘルスの対策をとることが重要である。
 メンタルヘルスに影響を与えている主な要因に「環境」「組織」「個人の能力」があり、これらがコラボレートしながら影響しているといわれている。いろいろな精神的ストレスが要因となって「心の健康」が損なわれているのである。
 近年、ある調査では従業員の約7割が職場でストレスを感じており、「心の病」が増加傾向であるという企業が多くみられるようになった。

【職場のストレスと病気】
 健康状況調査によると職場のストレスで最も多いのが「職場や取引先の人間関係の問題」。次に「仕事の量・質の問題」が上位に挙げられている。労働時間・残業時間が多くなったり、仕事の質(内容)が変りストレスを受けるのである。(仕事の質が変わる=例えば、IT化された職場でパソコンによる作業をするようになるなど)
 職場のストレスが増えている背景には経済のグローバル化にともなう大競争により従来になかった対応に迫られていることが大きく影響しているようだ。
 そして職場でのストレスを受け続けるとやがて精神病、神経症、心身症の種類に分類される「こころの病気」を引き起こす原因になっている。(心身症=ストレスが体に反応して症状が現れる、胃潰瘍など)
 現在、職場で問題になっている病気に統合失調症、アルコール依存症、うつ病などがある。(統合失調症=見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりする病気、精神分裂病)
 また職場でのコミュニケーションが不足すると、仕事上の悩みや相談ができずにメンタルヘルスを疎外させる要因だといわれている。
 職場ですべきことは経営者と従業員が日頃からコミュニケーションを良くとり、信頼関係をもつことが大切である。

【増加しているうつ病】
 近年うつ病になる人が増えている。誰にでもかかる可能性があり、比較的女性に多く、非常に苦痛を伴い、最終的に自殺につながる危険性のある深刻な病気である。当人も周囲からも気付きにくく、診断が難しい病気で、さらに再発しやすいという特徴がある。
 症状としては意欲がなくなる、判断が鈍くなる、集中できなくなる、いつもできることができなくなる、眠れなくなるなどがある。対処法は抑うつなどの症状が2週間ほど続いたら発症を疑い、精神科(最初は内科でも良い)を受診する。適切な診療を受け、服薬して休養することが大切である。再発しやすいため、初期段階での処置が非常に重要になる。
 従業員が今まで出来ていた事ができなくなり、仕事のパフォーマンスの低下などを見つけたら、それはらうつ病のサインかもしれない。日頃から従業員の行動を良く観察し、把握しておくことが大切である。
 うつ病と相関関係があるといわれている「自殺」。ここ10年続けて日本では年間3万人を超える自殺者があり、その7割が男性という統計がある。

【労災と安全配慮義務】
 従業員のうつ病や自殺が労災認定を受けるようになった。法律で労災認定が緩和されたこともあり、年々、認定申請が増え、それにともない認定も増え続けている。うつ病や自殺の原因が企業の責任とされる時代になったのである。
 企業には従業員の安全と健康を考える安全配慮義務がある。全ての従業員に健康診断を受けさせる義務が法律で定められている。
 多発する労災に対処するには、職場環境を改善し、従業員からの相談対応をすることが重要である。

【メンタルヘルスの取り組み】
 メンタルヘルス対処法は地域産業保険センターや保健所、労災病院などを利用するとよい。その他にインターネットで調べると病院の精神科、心療内科など多くの情報が入手できる。
 中小企業のメンタルヘルスの取り組みの状況としては教育、研修、情報の提供、従業員の情報の提供などを行ってきている。経済的な問題で取り組みが行なえない中小企業には、厚労省からメンタルヘルスに関する助成金が出るシステムができたので調べて活用すると良い。


◎この講義でメンタルヘルスについて多くのことを学ぶことができた。いつの間にか日本はストレスの多い社会になり、経営者は社員の心の健康を考えないと健全な企業経営が行えなくなってきているようである。
(広報委員会)