【 19年度 Vol.13 】
新年会長挨拶
会長対談 〜歴代会長との対談〜
署長を囲む懇談会と税務研修会
勉強会/9月
「中国・ロシア・インドの戦略的提携の中に見られる国際社会の変化と日本のゆくえ」
勉強会/10月
「その次の知的財産」
勉強会/11月
「日本にとって良い税制とは
どういう制度か」
夜の六本木パトロール
サンエー・クラブ忘年会
法人会全国青年の集い 愛媛大会
新年賀詞交歓会
私の仕事 椎名 正之
榊原 裕子
中村 武志
我妻 みづほ
ミセス茶々の占いコーナー
榊原 茶々
六本木新聞 No.64(PDFデータ)


【 20年度 】
Vol.15
【 19年度 】
Vol.14
Vol.13
Vol.12
Vol.11
【 17〜18年度 】
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 21世紀の日本は、世界のボーダーレス化、経済のグローバリゼーション化によって、諸外国の様々な同行に大きな影響を受けています。特に近年凄まじい急成長から影響力を及ぼしているのが、オリンピックを間近に控える世界の工場「中国」であり、エネルギー資源の国家的開発を行い諸国に供給を行っている「ロシア」であり、教育ITにより世界中に経済人を輩出している「インド」であります。
 その経済発展が著しい新興3国が、更なる発展に向けた戦略的提携を行う事によって、国際社会に新たな影響力を及ばすことが予測されます。
 今回の勉強会では、BRICS及びアジア関係の経済・情勢については第一人者である愛知淑徳大学ビジネス学部教授真田幸光先生をお招きし、最新の情勢についてご講演を頂き、また意見交換をさせて頂きました。
 真田先生はあの歴史上の人物、真田幸村の率いる真田家の末裔であり、その熱い血筋は現在も世界中を駆け巡ります。

真田 幸光:
1997年東京銀行を退社、ドイツのドレスナー銀行東京支店・企業金融部長。
98年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所助教授就任。
同年、小泉前首相時代、経済外交政策を3年間に渡りレポートを提言。また埼玉県、愛知県知事のアドバイザーを務め、経済執行政策、地域経済の活性化、地域の国際化等に対するアドバイスを行う。過去にもドイツやイタリヤ企業のコンサルタントアドバイザーを行う等様々な活動を展開中。

 真田先生は先日もフランスから帰国したばかりです。
 その前には中国黒龍江省よりロシア国境付近迄も視察に行ったばかりである。
 またその前にはタイにも行くなど「中国、ロシア、インド」を始め世界中を旅し、実際に現地に足を運んで自らの着眼点で見たものや世界から見ている日本をどう見ているのか等、貴重な情報を収集している。このような多忙な生活を送っている真田先生も法人会とは遠からずとも縁があり、真田先生は各地国税局の調査員を対象としたセミナーを行っていた経緯もある。

<サブプライムローン>
 住宅ローンを小口流動化し、またそれを海外に売った。通常であれば銀行がそれを長年持っていて、お客様より利息を預かり、利益とするのだが、最近の金融機関(特にアメリカ)はアセット(資産)を持たない。自社で仕組んだアセットを直ぐに他に売却し、直ぐに更なるアセットを仕込み売却し、手数料を取っている。
 アメリカの場合、そのアセットを国内に留まらず、海外にまで売却している為、より複雑な問題となっている。不良債権のシズテムは、流動化 ⇒ 小口化 ⇒ 海外売却となっている。不良債権の多くがフランスに流れ、今だにその額が不明である為に、今後のマーケットの見通しは不安定である。真田先生が現地調査で聞いたところでは約12兆円だそうである。日本の国家予算が82兆円であるのに対し、12兆円は大きいか小さいかは定かではないが、国際金融市場の規模からするとそんなでもない数字だという事だけは判る為、今後は終息していくのではないかと思っている。しかし、この問題によりアメリカの経済に懸念が残る。輸出大国であるアメリカの経済の不安はドミノの如くアジア経済の不安に直結しているという。現在でも米ドル安傾向となり円は高くなり、アジア経済では影響力の大きい人民元が大きな影響力を持ち始める。
 金利については、アメリカでは金利引き下げる動きも一部あるが、ヨーロッパではインフレの問題もあり、金利を引き上げる方向も一部あったが、現在も横ばいが続いている。
 東南アジアでは金利を引き下げて為替を調整する動きがでているが、中国ではバブル状態が続いている為、サブプライムローンの影響は全く無く、依然、金利は引き上げるのみでいる。このようにサブプライムローン問題一つで各国の金利の動きが顕著に見られる。

<株>
 国際金融市場で株式市場に資金を置きに行くのはあまり無い。投資として良い国も銘柄も特にないのが一般的な意見である。むしろ原油のほうが上がる傾向にある。
 株の場合、余剰資金がある会社が一部に投資をし、短期で売るといった形が、現在の中国経済の状況である。
 中国では、現在、輸出に力を入れている為、人民元が国内に留まり、ダブついている。
 国外への流出規制がある為、資金を海外へ出せない分だけ国内の不動産や株に投資をしてきたが今日、中国当局は不動産バブルの崩壊を恐れ不動産の蛇口を締めつつある。
 今年の2月に中国の株価が暴落し、ニューヨーク→ロンドン→アジア市場へと連動し、世界の株価に影響を与えているケースが起きている。

<原油・原資材>
 ドイツ製造業の方は、'06末に1バレル=$100を予測、当時では考えられなかったが、現在ではかなり近似な数値である。ヨーロッパではロシアの動きを見ている為、原油や天然ガスの供給状況はよりシビアである。過去3年の原油価格の推移を見ても飛躍的な動きをしている。その反面、消費価格に反映しなかったのは、中国とインドの安くて質の高い労働力にあったという事である。労働力では実績のある中国とは、今後も上手くやっていく事は必須な課題である。

<中国>
1. 人口:13億1千万人(世界第1位、すなわち豊富な労働力を確保出来る)
2. GDP:2兆7000億ドル(世界第4位)
3. 経済成長:2兆7000億ドルを元に4年連続2ケタ成長(先進国では異例)
4. 貿易規模:約1兆7700億ドル(世界第3位)(1位:アメリカ、2位:ドイツ)
5. マクロベースで1兆3000億ドル外貨準備高(世界第1位)(2位:日本)
6. 自動車生産台数720万台/年(1500万台を2010年迄に拡大予定)
7. 粗鋼生産4億2000万t(特殊鋼は日本)
8. 造船業の拡大 輸出入用の貨物として船が必要、海軍が強化
9. R&D投資 金額ベースでは約3000億人民元(世界第2位のR&D大国)

<問題>
 人民元が他の通貨と比べ強くなっていく。
 国内最大の内政問題(3農問題:農業、農民、農地)農民の生活が安定しない為に都心部に出稼ぎに出てきてしまい、農業生産が落ちている。

<国家政策>
 中国の国家政策の中には通常の会社のように、「理念(派遣国家)⇒ビジョンとして持っている。中長期計画:2011年迄にアジア最大の経済大国を目標にし、忠実に国家政策として行っている。
 ビジョンを実現させる為に「1.食料の確保(足りない)、2.水が足りない(飲料水だけでなく工業用としても使えない程、水質が悪い)3.エネルギー資源がない4.原材料が足りない」
 世界の工場として可動する中国としては、莫大な原材料&エネルギー資源が必要となる。
 よって必要となった経済外交政策には、2つの目標「資源エネルギー外交」「技術を吸収する外交」、そして4つのカテゴリーとして「対近隣諸国外交」、「対大国外交」、「対開発途上国外交」、「対連合国外交(例:EU、アセアン等)」が挙がっている。ハードの中国、ソフトのインドにロシアの天然資源を合わせていけば、ゆくゆくはアメリカとの外交バランスが取れるのではないかと言われている。

 私達が日々の暮らしを営んでいる今も近隣諸国では、着々と将来のビジョンに向け、突き進んでいる国々が実在する事実と向き合いながら、我々の子供たちの世代に向け、自分達の時代に作ったツケを少しでも残さないよう真剣に考える時に差し掛かっている気がする。
 私たち経営者にとって、市場為替・生産・エネルギー・人材という新しいトレンドをキーワードにした世界の経済事象を理解し把握していく上で、情報を収集しその動向を探り次の一手に備えていくことが肝心なのではないでしょうか。
事業担当副会長 後藤 浩