【 18年度 】
勉強会 「職場のメンタルヘルス
新年賀詞交歓会
クリスマスパーティー
チャリティーダンスパーティー
勉強会 「税と国家について考える3」
子供達にツケをまわさない
税務懇談会
署長インタビュー
勉強会 「経営者・リーダーと
ファッションについて」
第35回 通常総会
第35回 通常総会 懇親会

【 17年度 】 詳細情報



 10月4日泉ガーデンコンファレンスセンターにて今回で3回目となる「税と国家について考える3」が行われた。今回は特別講師として第1回目の講師を行った千葉商科大学大学院教授であり、公認会計士でもある吉田寛先生、税理士・公認会計士の肩書きを持つ民主党参議院議員のおだち源幸先生、自由民主党より衆議院議員の阿部俊子先生の3名をパネリストにお呼びし、21世紀型の税制について有職者・政治家・私たちの立場から、次世代を担う子供たちにツケをまわさない国家を作るためには何をするべきかを参加した多くの方々で考え、意見をまとめ発信できるよう、パネルディスカッション形式にて行われた。

パネリスト紹介


吉田 寛 氏(よしだ ひろし)

 国民・市民に使われる民という字は、もともと奴隷を意味する字でした。昔、中国では奴隷の片目をつぶし、他から見て奴隷と直ぐにわかるようにしました。その様子が今の「民」という字の語源となっています。今でこそ私たちの目はつぶされることはありませんが、「見えない」という状態にあるのは、今も昔の奴隷も同じかもしれません。
 現在の税制を見ても複雑化し、いわば「見えなくする」方法は多くあります。税を使用する側の良い・悪いが見えなければ合理的な判断はできないし、為政者の思うがままです。


おだち 源幸 氏(おだち もとゆき)

 「税とは何か、なぜ必要か?」「納税者にとっては、税金がきちんと使われているのか?」「税の使い道」を追求するべく議員となる。
 現在の日本の財政赤字は現在1000兆円であり、100万円/秒が増えつつあるとあるいう現実がある。理想の税制とは払う税を出来るだけ少なく、その使い道も出来るだけ判りやすくする事である。


阿部 俊子 氏(あべ としこ)

 看護士の資格を持つ。人生の功労者でもある高齢者が老人介護施設にて、おむつ交換の際にカーテンすらされない現実を目の当たりにし、議員となる。
 日本は高負担、高福祉である。税金は国民の義務であり、税とは財源確保、富の再配分機能により成り立っている。他国と異なり日本の場合は高額所得者が福祉の多くをまかなっているのが現実である。
 次世代に負担を掛けずに中小企業を守っていくやり方を現在模索中。



【 税についてどう思われますか? 】

阿部議員:
 税金は公共サービスを提供する為の資金調達であり、どこまでサービスを提供するのか。
 また、サービスを提供するのは国なのか、だとしたら国民は幾らまでなら払えるのか。
 また、社会保険の税制には3つしかない、保険料、税金、自己負担である。人間が将来生活していく中で将来、障害者認定を受ける人は人口の4%、寝たきり5%、障害者施設利用者に関しては全体の2割程に上る。あまり知られていないが、これらの費用の半分を医療保険でまかない、残りを税金でまかなっているのが現実である。

吉田先生:
 民主主義となった現在、税金をコントロールするのは納税者である。納税者自身も近年ではこの事すら忘れかけている。税を使う方も、その能力があるかないかが大きな問題である。
 「ありがとう」と言ってお金を払うのが理想の税制である。


【 税の集め方、使い方(歳出歳入) 】

阿部議員:
 現在では各省庁の管理能力が問われている。
 周囲を海で囲まれている日本に於いて、ゴミの大半が河川ゴミであり、日本の河川は現在国土交通省の管轄にある。この広大なエリアのゴミを一つの省庁でまかなえるものなのか?
 歳出は100%国の問題である。歳入に関しては今後の高齢化、少子化社会になるという事は、人口減少すなわち税金の減少に直結する問題である。

おだち議員:
 所属する団体JTR(日本税制改革委員会)の宣誓書の中の一文に、「日本人は納税や社会保険の為に1年間の内38%を税金の為に働いている計算になる」というデータがある。
 日本の税制をわかりやすく説明すると「税金は取りやすい所から取る(社会保険)」「無駄使いが多い」。すなわち取りやすい所からチビチビ取ったお金を無駄使いするという事である。
 一般会計予算だけでは全てをまかなえない、よってその他にも特別会計が各省庁別に設けられ、財務省独自の管轄に置かれている。また、集めたお金は特殊法人に流れ、更には公益法人、ファミリー企業へ分散されていく。複雑怪奇な上にアンタッチャブルな部分でもある。
 例えば、国土交通省の管理下には自動車検査登録特別会計がある、いわゆる「自動車車検関係」全てである。車検手数料として年間569億、自動車税17億の合計576億の収入に対し支出として地方行員局へ479億の支出が行われ、実に常用金として107億がペーパーカンパニーに流れる仕組みがある。

吉田先生:
 税の種類は国税24種類、地方税45種類、合計69種類の税と戦わなければならない。「税とは何種類あるか?」を全てを把握説明出来る職員は少ない。日々変わる税制度は過去にもましてより複雑化し、国民にはとても把握出来ない。
 役所の仕事に値札を付ける、社会保険料を例に挙げると、100円返してもらうのに幾ら払えば良いのか等を明確にする必要がある。
 一般会計、特別会計より80兆円の支出、税収は50兆円、30兆円を今だに子供の世代にツケを回しているのが現実である。

 今回で第3回目となった勉強会は、要約すると以上のような講演内容でした。

 第1回目をテーブルディスカッション形式で行い、第2部ではグループディスカッション、そして3回目となる今回はパネルディスカッション形式と様々な角度から税について皆で考え、サンエーメンバーからの質問を中心に活発な意見の交換がかわされた。現在の霞ヶ関並び国会内では議員個人個人がどのような考えを持ち、また対応をしているのか等、まさに麻布法人会サンエー・クラブにふさわしい、税についての基本的な知識を得ることができた勉強会であった。
(広報委員会)